みんなで「ベー」の音を出してください。
「ファ」って言えよ
こんにちは!ドミです!(#^^#)
吹奏楽やオーケストラの合奏では普段の生活では聞きなれない言葉が飛び交います。
本シリーズは「合奏用語かんたん解説」と銘打ちまして、初めて合奏に加わる人向けに合奏の用語について分かりやすく、詳しく解説していきます。
今回のテーマは「ドイツ音名の覚え方」についてです。
今回は初めて楽器を触るような初心者の方向けにドイツ音名の覚え方を解説します。
inF編ということで、F管かつ記譜もinFである以下の楽器のかた向けです。
その他の楽器の方は↓の記事で解説していますので、こちら↓をクリック!
楽譜の音と楽器の音が違っていて気持ち悪いという、ピアノ経験者の方はこちら↓
先輩や顧問から「ドイツ音名は必ず覚えてね」などと指示されたけど、なかなか覚えられずに困っている初心者の方は多いと思います。
これさえ読めばもうドイツ音名は怖くありません!
ドイツ音名とは
「ドイツ音名」とはドイツ語の音の名前のことです。
音の名前のことを「音名」という呼び、特にドイツ語の音の名前をドイツ音名といいます。
つまりドイツ音名は「ドレミファソラシ」のドイツ語版ということです。
合奏ではドイツ音名がたくさん使われるので、必ず覚えておきましょう。
ちなみに「ドレミファソラシ」はイタリア語なので、イタリア音名と言います。
<初級編>ドイツ音名の覚え方 inF(エフ)
ドイツ音名は「ドレミ」のドイツ語バージョンですが、法則を知れば3つのステップで簡単に覚えられます。
ステップ1:♮系を覚えよう
ドイツ音名は法則さえ分かれば単純な名前をしているので、簡単に覚えられると思います。
ドイツ音名を覚えるときは「音符の位置でドイツ音名を覚える」ことを意識しましょう。
ピアノの鍵盤に当てはめて覚える方法はお勧めしません。この方法で覚えると後々混乱することになります。
ステップ2:♭系を覚えよう
♭は以下の2ステップです。簡単に覚えられると思います。
ド♭はシと同じ音、ファ♭はミと同じ音なのでEやAで指示されます。特にBesはめったに使いません。
ステップ3:♯系を覚えよう
ドイツ音名の♯は後ろに「is」をつけて、ドイツ語読みします。ただし、1つだけ例外があります。
ミ♯はファと同じ音なので、ほとんどの場合Bで指示されます。
シ♯とドも同様で、ほぼEで指示されますので覚えておきましょう。
基本的なドイツ音名は以上です。はじめは混乱すると思いますので、次にご紹介する早見表を活用して早めに上手に覚えましょう。
楽譜とドイツ音名の早見表(inF)
合奏ではドイツ音名で指示されることが多いです。
ドイツ音名からするぐに記譜音に変換できるよう早見表を作成しました。ご活用ください。
ドイツ音名が言えるようになれば、ひとまず合奏で指示された音を出すことができます。
吹奏楽1年生の方はまずこれを覚えましょう。
ドイツ音名を理解していないと合奏では置いてきぼりです。私も最初は苦労しましたが、頑張ってドイツ音名を覚えましょう。
<中級編>移調楽器と調性について
ここから先は中級者向けの少し難しい内容です。しかし、セクション練習で他パートの楽譜を演奏する場合には必須の知識になるのでしっかり覚えておきましょう。
吹奏楽をしばらくやっていると、同じ楽譜でも実際に鳴る音が違う場面に遭遇します。
たとえば、アルトサックスでテナーサックスの楽譜を吹くと、テナーサックスで演奏したときとは別の音が鳴ります。
この現象の理由は、アルトサックスとテナーサックスがそれぞれ調性の異なる移調楽器だからです。
調性とは各楽器の「ド」を演奏したときに鳴る音のことで、「ド」が「Es」の調性をinE♭やE♭管と表記します。
移調楽器とは「ド」の音がピアノの「ド」と異なる楽器のことです。
ピアノの「ド」は「C(ツェー)」であり調性はinCと言えます。つまり、inC以外の楽器はすべて移調楽器ということになります。
同じ「ド」でも実際に鳴る音が違うなんてふっしぎ~
吹奏楽では多くの移調楽器が取り入れられています。
テナーサックスの調性inB♭で、アルトサックスの調性はinE♭です。
先ほどの例では調性が異なる楽器でお互いに「ド」の音を吹いたため、違う音が鳴ってしまったという訳です。
このように、調性が異なる楽器で同じ楽譜を演奏すると異なる音が鳴るため、正しく演奏するには、楽譜に書いてある音と実際に鳴る音の関係について知る必要があります。
記譜音と実音を理解しようinF(エフ)
ドイツ音名を覚えて1カ月くらい経ったらこの領域にチャレンジしましょう。
ハーモニーディレクターを使ったり、ピアノで自身の楽譜を弾いたりする際には、各楽器の記譜音と実音の知識が必要です。
- 「記譜音」とは楽譜に書かれている音のことを指します。
- 「実音」とは、それを演奏した際に実際に鳴る音のことを指します。
少し難しいので解説します。
たとえば、聞こえてきた音をそのままピアノで弾ける人がいるとしましょう。この能力を「絶対音感」というので、ここでは「絶対音感くん」と名付けます。
絶対音感くんにクラリネットの「ド」の音を聞いてもらい、その音をピアノで弾いてもらうとします。
すると絶対音感くんは「シ♭」の鍵盤を弾きます。(気になる方はスマホのピアノアプリで試してみましょう。クラリネットのドの音はピアノのシ♭と同じ音になっています。)
このときクラリネットの楽譜に書いてある「ド」を記譜音といい、絶対音感くんが弾いた「シ♭」を実音といいます。
つまり、楽譜で書かれている音が記譜音で、それを実際に演奏したときに鳴る音が実音という関係です。
移調楽器の多い吹奏楽やオーケストラでは記譜音と実音が異なるため、記譜音をイタリア音名、実音をドイツ音名として使い分けています。
実音のドイツ音名とその覚え方
移調楽器の楽譜をピアノで弾く場合は、実音のドイツ音名も覚えておかなければなりません。
まずは実音のドイツ音名がどのようになっているのか見てみましょう。覚え方はあとで説明しますので、まずは図を見てください。
ホルンのファの実音はB(ベー)でした。よって、ピアノで同じ音を出したいときは「シ♭」の位置の黒鍵を弾けばよいことが分かります。
「楽譜の「ファ」を「シ♭」で弾く」など、記譜音のみで考えるとたちまち混乱します。
「楽譜の「ファ」は実音でB、Bの鍵盤はここだから、ピアノでは「シ♭」だ」と実音を経由することで分かりやすくなります。
実音のドイツ音名はピアノの鍵盤の位置で覚えましょう。楽譜の位置で覚えようとすると、記譜音のドイツ音名と混乱するため、お勧めしません。
ステップ1:実音の♮を覚えよう
実音のドイツ音名も法則が分かればすぐに覚えられます。
シがHとなっているで気を付けてください。Bはシ♭に使われています。
これは1600年代、中世時代のドイツの風習からきています。
中世のドイツ音楽の旋律では「シ」の音を半音下げた「シ♭」で歌うことが多かったそうです。そこで、ドイツではこの音を「B(ベー)」とし、♭がつかない音をアルファベットの8番目の「H(ハー)」としたのです。
小村 公次 著「音楽のあゆみと音の不思議4 音楽のしくみとルール」14P参照
ステップ2:実音の♯を覚えよう
分かりやすくするために先に♯系を解説します。♯系はisを付けるだけです。
♯系はこれでおしまい。超簡単♪
ステップ3:実音の♭を覚えよう
♭系はesを付けます。しかし2点例外があります。
少し例外がありますが、すでに自身の楽器のドイツ音名を一通り覚えていれば、すぐに理解できると思います。
実音のドイツ音名の早見表
実音のドイツ音名をいち早く覚えるために早見表を作りました。ご参考ください。
ここまで覚えれば楽譜の音をハーモニーディレクターで確認したり、ピアノで演奏したりできます。
和音の確認やピッチの確認には必須スキルなので、ぜひ身に着けましょう。
さらに他の移調楽器の楽譜でも、その実音の読み方を覚えればハーモニーディレクターを使ったセクション練習や基礎合奏も可能になります。
補足:Besを使わない理由
inFのドイツ音名の解説で、「Besはあまり使わない」と紹介しました。
その理由はこの音が、「二重臨時記号音」と呼ばれる特殊な音だからです。
inFの記譜音と実音の関係を見てみましょう。
inFの音階は実音で表すとファから始まる音階です。よってinFの音階にはすでに「H」に♭が付いてBになっています。
「Bes」は、Bの音にさらに♭を付けるということなので、ピアノの鍵盤で見ると♭が2つ付くことになります。
「シ♭の♭」のように臨時記号が2重についている音を「二重臨時記号音」と特別に呼び、これはとても珍しいことで、めったに使いません。
Besは実音で見ると二重臨時記号音という珍しい音であるため、なかなか使わないという訳です。
まとめ
今日はF管でかつ記譜もinFの場合におけるドイツ音名の覚え方を解説しました。
合奏でよく使っているドイツ音名ですが、ややこしい点があり、初心者が理解するにはすこし時間がかかるものです。
初級レベルの習得にも2,3週間ほどかかるかもしれませんし、中級レベルの習得にはもっと時間が必要です。実音と記譜音を自由自在に行ったり来きたりできるようになるには、半年ほど時間が必要でしょう。
最初は誰だって初心者です。躓いた時は優しい経験者に教えてもらいましょう。上手に先輩から教わるというのも、大切なスキルの一つです。
ここのコメント欄に質問してくれれば私がお答えします。遠慮せず訊いて下さい。
間違いや疑問点があればコメント欄にてお知らせ願います。
要望や感想でも結構です。私のテンションが上がりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
よき吹奏楽ライフを!
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