こんにちは!筆者のドミトリーです!
最近「演奏してみた」の動画投稿を始めたのですが、後ほど自分の動画が思いっきり著作権侵害していたことに気が付いて、慌てて動画を削除しました。
幸いにも該当の動画は7本程度でしたので、傷は小さくて済みましたが、気付くのが遅れていれば対処はもっと大変だったかもしれません。
今では著作権侵害に気を付けながらこんな動画をアップしています。
今日は私のようなミスを犯してしまう人を一人でも減らせるように、著作権侵害にならない「演奏してみた」動画のアップ方法について解説します。
ここでは分かりやすく解説するために「演奏してみた動画」を投稿する場合に絞って、注意するべき事項や、許可の取り方についても詳しく解説したいと思います。
解説の都合上、著作権についての解説が長くなってしまったので、早く動画投稿の方法が知りたいという方はこちらからどうぞ。(著作権侵害にならない「演奏してみた」動画のアップ方法)
なお、今回の記事は信頼性確保のため著作権系VTuberの「テンペンロイド様」@numazuJK_Temより校閲いただいています。この場をお借りしましてお礼申し上げます。ご協力いただきありがとうございました。
現在Youtubeチャンネルの準備中だそうです。22年1月に活動開始されています!!Twitterでは著作権についての啓蒙活動やパン作りの様子を投稿されています。
ほっこりしますよ。
著作権ってなに?
まずは著作権とはそもそも何なのかについて解説します。
いきなり難しい言葉だらけで混乱しますね。
でも大丈夫!ここでは「著作者にちゃんとお金払おうね!というのが法律で決まっている」という認識さえあればOKです。
ちなみに、著作権は著作権法によって詳しく定められられています。気になる方はリンク先で確認できますので、どうぞ読んでみてください。著作権法はこちら
著作者人格権について
あまり知られていませんが、著作権法では著作権の他に「著作者人格権」というものが定められています。
著作物は著作者の思想や感情が反映されているものなので、個人の人格的権利も保障するようになっているのです。
具体的には以下の3つの権利のことを著作者人格権と言います。
同一性保持権は、著作者の意に反して著作物を勝手に変更したりカットしたりして、改変されないという権利です。
著作者の意に反して、編曲したり、曲をカットする場合はこの同一性保持権の侵害に当たります。
「著作者が作ったものを勝手に変更するのは著作権侵害になるのだなぁ」と認識しておきましょう。
著作権侵害をするとどうなるの?
著作権や著作者人格権を侵害した場合、どのようなことになってしまうのでしょうか?
主に以下の3つの悪いことが起こります。
創作物が生まれにくくなり、業界が衰退する。
まず一番の影響は、著作権侵害をするとその業界が衰退してしまうということです。
著作権を侵害すると、本来お金をもらえるはずだった著作者にお金が行かくなってしまいます。自分以外の人にお金が行くのであれば、作品を作る気も起きないというのが普通です。
また、著作者人格権を侵害すると、自分の思想とは異なる形で広まってしまいます。せっかくメッセージ性のあるものを作っても、勝手に改変されて意図しないメッセージばかり伝わってしまうのなら、新しい作品を作る気も起きなくなってしまいます。
このように、著作権や著作者人格権を侵害すると新しい作品が生まれにくくなり、その業界はどんどん衰退してしまうのです。
著作権法はこのような事態を防ぐために作られたものであり、著作権を守ることは音楽業界を守ることに繋がるのです。
刑事罰が科される場合がある。
著作権の侵害はれっきとした法律違反であり犯罪ですので注意しましょう。
とはいえ、著作権侵害は親告罪なので、著作権者が告訴しない限りは検察に起訴されることはないです。なお、近年の改正で海賊版の悪質な著作権侵害は一部非親告罪になっています。(こちら参考)
もしも著作権者に告訴され、検察にも起訴されて有罪判決を受けた場合は前科が付きますし、加えて刑事罰が科される可能性があります。
刑事罰は侵害した著作権の内容にもよりますが、おおよそ「10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、または懲役と罰金の両方が科される」という内容です。(119条1項)
民事訴訟を起こされて、損害賠償請求を受ける場合がある。
検察の起訴を免れたとしても、著作権者から民事訴訟を起こされる可能性があります。
民事訴訟を受けると差止め請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。
よく世間では「個人の活動ならいちいち訴えてくる人はいないので、著作権を侵害しても実質的に問題ない」という意見を聞きますが、実際には個人が訴えられているケースもあります。(「漫画on Web事件」で個人に対して50万円の支払い命令が出ている。)
著作権侵害は他人ごとではないのです。
軽い気持ちで著作権侵害するのはやめよう
ここまで怖い話をしてきましたが、実際問題として、1回だけの著作権侵害で訴えを起こされる可能性はかなり低いと思います。
しかし、一人一人は小さな著作権侵害でもトータルすると著作者に及ぶ影響は大きいです。
有名アーティストの一人である平沢進さんは、動画サイトでよく見かけるMAD作品について苦言を呈しています。(こちら)
少なくとも音楽業界で腰を据えて活動をしていくのであれば、著作権に配慮し、音楽業界が衰退しないようにしたいものです。
音楽業界がなくなったら、私たちが活躍する場所もなくなってしまうのですから。
著作権を侵害しないで「演奏してみた」動画を投稿する方法
では実際に著作権を侵害せずに「演奏してみた」動画を投稿する方法について、詳しく解説していきます。
下図のフローチャート従えば著作権侵害せずに動画をアップすることができます。
それぞれ丁寧に解説していきますね。
自作した曲(著作権は自分で管理)の場合
まず、自作した曲についてです。
自分で著作権を管理している場合は、編曲しようが、動画にアップしようが、何をしても大丈夫です。
むしろ自分が公開した動画が無断で使われていないかチェックする方が大切です。
「コンテンツID」などを活用して自身の著作権が侵害されないよう工夫しておきましょう。
あなたの作った曲にかかる印税はあなたのものです!
編曲するなど、楽曲に大幅な変更を加えない
次に確認するのは、編曲や替え歌などの「改変」の有無です。
著作権には翻案権というものがあり、翻訳や編曲の際には著作者に許諾を得る必要があります。(著作権法第27条 翻案権)
さらに前述しましたが、著作者には「同一性保持権」という権利も加えて存在し、著作者の「意に反して」著作物を改変、または切除(カット)してはならないと決められています。
編曲したり曲をカットしたり改変する場合は著作者に許可を得ていないと、著作者から「翻訳権の侵害である」とみなされたり、この改変は意に反しているとして「著作者人格権の侵害」で訴えられる可能性があります。
合唱用の楽曲を無許可でロック調にアレンジしてCDを販売しようとした際に、実際に裁判となった例がありますので、注意してください。(『大地讃頌』(だいちさんしょう)事件)
ちなみに、すでに編曲されている楽譜をそのまま使用する場合は、すでに編曲者が著作者に許可を得ているはずですので、こちらから改めて許可を得る必要はありません。
編曲や替え歌など、曲を改変する場合
では編曲や替え歌の動画をアップしたい場合はどうすればよいのでしょうか?
編曲や替え歌の動画をアップしたい場合は、以下の3点を著作者に直接問い合わせして許可をもらえればOKです。
著作者の連絡先はJASRACのデータベースで検索するか、JASRACのヘルプデスクに問い合わせれば著作者の連絡先を教えてもらえます。(こちらを参照)
なお、著作者がすでに亡くなっていた場合は、可能であれば遺族に許諾を得た方が無難です。
何故なら著作者の死亡した後でも、「生前の著作者の人格権を侵害する行為」そのものが法律で禁止されているからです。
著作者が死亡した後は、その親族に異議申し立てや差止請求の権利が移行します。無許可で動画投稿した場合、遺族に「人格権の侵害だ」と認識されれば訴えられる可能性があるのです。
とはいえ、その効力も永遠という訳ではないようです。
「その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。(60条)」と記載あります。
実務的には著作者の死後70年が経過しているような著作権が消滅している作品(P.D.)については、遺族に許諾など取らずに編曲している場合が多いようです。 (安藤和宏著『よくわかる音楽著作権ビジネス 基礎編 5th Edition』130p以降)
無許可で改変しても問題ない「やむを得ない改変」について
20条2項4号にて、「やむを得ない改変」であれば、著作者の意に反する改変でも、同一性保持権の侵害にはならないという内容が定められています。
ただし、どこまでが「やむを得ない改変」に当たるのかについてはまだ判例が少なく、明確な線引きがありません。
過去の判例では、技術的な影響による不正確な演奏や、映画のテレビ放送のためのCM挿入などの場合はやむを得ない改変ということで、著作権侵害に当たらないと判決が出ています。
このように、やむを得ない改変である場合は著作権の侵害にはならないので、著作者に許可を得る必要はありません。
私の解釈としては、動画時間の都合で仕方なしに楽曲をカットする場合は「やむを得ない改変」に当たると考えています。
しかし過去に判例がないので、実際の裁判では「やむを得ない改変」と認められない可能性もあります。
最近ではおおよそのことは「やむを得ない改変」に当たると考えていいという意見もあるようです。 (中山信弘著の『著作権法』p514以降)
万一訴えられた場合は自己責任となりますので、トラブルを避けたいのであれば許可を得るようにしましょう。
自身の行う改変を「やむを得ない改変」として無許可で動画投稿するかどうかの判断は自己責任となります。
著作権法を厳密に順守したいのであれば、カット等の些細な改変でも著作者に許可をもらう方が望ましいです。
著作権が消滅している
次に確認するのは、演奏する曲の著作権が消滅しているかどうかです。
著作権が消滅した作品をP.D.(パブリックドメイン)と呼びますので、以後この表現を使用します。
基本的に、著作者が死んだ次の年の1月1日から起算して70年たった曲はP.D.となり、自由に演奏、配信できます。(2018年12月30日に死後50年から70年に変更になりました。)
しかし、海外の楽曲については注意が必要で、ざっくり70年にプラス10年ほど(※国によって異なる)経たないとP.D.となりません。
これは第2次世界大戦により失われた著作権者の利益を回復しようとする制度で、「戦時加算日数」と言います。
なお、あくまで戦争期間の間分の著作権保護を延長する制度ですので、戦時中に創作された場合は加算日数が戦時加算日数よりも短くなります。
例えば終戦のちょうど1年前に作られたものであれば、70年プラス1年でP.D.となります。(詳しくはこちら)
国 名 | 戦時加算日数 | 平和条約発効日 |
---|---|---|
アメリカ合衆国 | 3794日 | 1952年4月28日 |
イギリス | 3794日 | 1952年4月28日 |
フランス | 3794日 | 1952年4月28日 |
カナダ | 3794日 | 1952年4月28日 |
オーストラリア | 3794日 | 1952年4月28日 |
スリランカ | 3794日 | 1952年4月28日 |
ニュージーランド | 1607日 | 1952年4月28日 |
パキスタン | 1393日 | 1952年4月28日 |
ブラジル | 3816日 | 1952年5月20日 |
オランダ | 3844日 | 1952年6月17日 |
ノルウェー | 3846日 | 1952年6月19日 |
ベルギー | 3910日 | 1952年8月22日 |
南アフリカ連邦 | 3929日 | 1952年9月10日 |
ギリシャ | 4180日 | 1953年5月19日 |
レバノン | 2291日 | 1954年1月7日 |
海外の楽曲の場合、戦時加算日数を加味する必要があり、P.D.かどうかの判断が非常に難しいです。
たとえば『トランペット吹きの休日』や『道化師のギャロップ』、『剣の舞』はクラシック音楽の定番ですが、まだ日本ではP.D.にはなっていません。一見P.D.ぽいけど注意です!
ザックリ著作者の死後85年たっていれば間違いなくP.D.ですが、微妙な作品に関してはよく調査してから動画投稿するようにしましょう。
JASRAC、Nextoneで「配信」の著作権が管理されている
著作権が消滅していない曲で演奏動画を投稿する場合、「配信」にかかわる著作権がどこで管理されているか調べる必要があります。
まずはJASRACかNextoneで「配信」の著作権が管理されているかどうか調べましょう。
JASRACやNextoneは著作権に代わって著作権の管理を一括で引き受けている会社です。
JASRACやNextoneで「配信」の著作権が管理されていれば、投稿者はなにも申請することなく動画を投稿できますので大変楽です。(理由は後述)
JASRACで「配信」の著作権が管理されているか調べる方法
JASRACではこちらのサイトで簡単に調べることができます。
① 注意事項を読んだ後「作品利用に関する重要なお知らせ」をクリックし、お知らせを読む。
②「上記の内容に了承して検索に進む」をクリック
③検索条件を入力して「検索」をクリック
④「配信」の欄が○ならOK。△や×ならNG
JASRACでNGとなっても次に紹介するNextoneでは「配信」の著作権が管理されている場合があります。
あきらめずにNextoneでも検索しましょう。
Nextoneで「配信」の著作権が管理されているか調べる方法
Nextoneはこちらのサイトで調べることができます。
①注意事項をよく読み、「以上に同意の上、作品データベースを利用する」をクリック。
②好みの検索条件を入力し、「以上の条件で検索する」をクリック
③目的の曲の「管理区分」の「配」について確認する。(青色なら動画投稿できる!)
JASRAC、Nextoneのどちらでも管理されていない場合
先ほど紹介したデータベース上に情報がなく、JASRACやNextoneで管理されいない曲については、自分で著作者の連絡先を調べて連絡をとり、許可を得る必要があります。
著作者と直談判となるため、最初は勇気が要りますが、慣れてくると大したことありません。(先方もこの手のやり取りには慣れていることが多いです)
案外無料で許可を出してくれる場合もあるので、勇気を出して連絡してみるのもありだと思います。
ちなみに、自分で調べても著作者の連絡先が分からない場合、JASRACに曲名と作曲者名を伝えれば連絡先を調査してもらえるようです。(こちらを参照)
おな、それでも著作者と連絡が取れない場合、文化庁が定める所定の手続きを行えばその著作物を使用することができます。(著作権者不明等の場合の裁定制度)
ただし、『権利者が不明であるという事実を担保するに足りる程度の「相当な努力」を行うこと』が前提となっており、その手続きは恐ろしく面倒くさいです。
文化庁に事前相談が必要だったり、文化庁長官が定める刊行物に「著作者探してます」の記事を掲載したり(1つの記事を掲載するのに税抜き7,500円)など気が遠くなる作業です。
しかし無許可で使用した後に著作者が現れてしまうと、著作者に訴訟を起こされる可能性もありますので、どうしてもリスクヘッジしておきたい人はぜひこの制度をご活用ください。(詳しくはこちら)
投稿先がYoutubeなどの提携サイトである
JASRACやNextoneは一部の動画サイトと包括契約を結んで提携しています。
包括契約とは、本来投稿者が行うべき著作権の手続きを代わりに実施してくれているということで、以下の内容は手続きなしに動画投稿可能です。
わざわざ投稿者が手続きしなくていいので、大変ありがたいですね!
「演奏してみた」の動画内容は包括契約に完全に含まれていますので、包括契約を締結しているサイトであれば、投稿主は何も申請せずとも動画投稿できるという訳です。
2021年10月26日現在、JASRACとNextoneともに包括契約を結んでいる主な動画サイトは以下の通りです。
結構多いですね。しかし、まだ包括契約を結んでないサービス(Twitter等)もあるので注意してください。
包括契約を結んでないサービスに動画を投稿するには著作権を管理しているJASRACかNextoneに申請が必要です。注意しましょう。
上記以外にも「JASRAC」と締結している動画サイトはこちらのサイトで確認できます。
上記以外に「NexTone」と締結している動画サイトについては直接問い合わせするようアナウンスされています。こちらのホームページに記載あります。(↓こんな感じ)
今回は実際に筆者が2021年10月26日に問い合わせを行い、一部の情報を載せています。
投稿したい動画サイトがNextoneと提携済みかどうか気になる方はこちらよりぜひ問い合わせてみてください。(返事はすぐにきますよ!)
提携サイト以外に動画をアップロードしたい場合
現在もどんどん包括契約を結ぶサービスは増加してますが、Twitterのように中には包括契約を結んでいないサービスもまだまだたくさんあります。
包括契約を結んでいないサービスにどうしても動画を投稿したい場合はどうすればよいのでしょうか?
その場合は、「個人で包括契約を結んでしまう」ことで動画投稿が可能になります。
JASRACの場合、国内の曲のみなら50,000円/年で包括契約できます。(詳しくはこちら)海外の曲も使用する場合は別途、権利者が指定した額の使用料が発生しますので注意が必要です。
Nextoneの場合、月額5,000円×管理作品の利⽤割合で包括契約できます。(詳しくはこちら)
「利用割合」とはNextone管轄の曲を使って投稿した動画の本数を自身が投稿したすべての音楽関連の動画の本数で割ったものです。
つまり、10件動画を投稿して、NexTone管理楽曲を4件投稿したら、著作物利用比率は40%ということ。月の支払いは5,000円×40%=2,000円となります。
ちょっとややこしいですが、Nextone管轄の曲をどのくらいの割合で使用するかで料金が変わるので、JASRACメインだけどたまにはNextone管轄の曲も投稿したいという人はお得に契約できるかもしれません。
いずれにせよ結構なお金がかかるのでハードルは高そうです。
JASRAC管轄、海外の楽曲、投稿主が団体かつ動画の内どれかが異なる
JASRAC管轄の海外の楽曲で、投稿主が団体かつ、動画として投稿する場合は、「シンクロ権」についても気を付けなくてはなりません。
「シンクロ権」とは楽曲と動画を同期させて使用する場合に発生する権利のことです。
日本ではシンクロ権を意識することはありませんが、海外では重要視されている権利です。
とはいえ、JASRACもNextoneも基本的には包括契約に「シンクロ権」も入っているので、気にする必要はありません。
唯一注意が必要なのは、「JASRAC管轄の海外の楽曲で、投稿主が団体かつ、動画として投稿する場合」です。(上記4.の※の部分)
JASRACの包括契約では個人のシンクロ権については契約してくれているのですが、団体のシンクロ権については含まれていないのです。(一方、Nextoneは団体でもOK)
団体のアカウントで、海外の楽曲を使用した動画を投稿する場合はこちらからJASRACに申請が必要となります。
使用料は権利者(ほとんどの場合出版会社)の言い値になりますので、曲によってバラバラです。まずは使用料を出版会社に問い合わせしてみましょう。(主な出版会社の連絡先はこちら)
ちなみに、動画ではなくスライドショーならシンクロ権は発生せず、JASRACへの申請も不要です。
手続きが面倒だったり、使用料を工面できない場合はスライドショーで誤魔化せば団体のアカウントでも日本の曲と同じように投稿できますよ!!
ここまで確認できればやっと楽曲にかかわる著作権処理は完了です。
他人の音源を使用しない
続いては音源にかかわる権利処理です。
音源には著作隣接権といって、音源を作成したレコード会社や演奏者にも権利が発生しています。よって、他人の作成した音源を使用する場合は許可が必要なのです。
ややこしい手続きなしに動画をアップしたい場合は伴奏も自分で作成すればOKです。
他人の音源を使用する場合(伴奏の音源を自分で用意できない場合)
伴奏を自分で用意するのは無理だけど、手続きなしに演奏動画を投稿したい場合、Youtubeでカラオケ用として公開している音源を使用するのが簡単です。
カラオケ音源を投稿している投稿主の中には使用許可を出している方もいます。利用規約をよく読んで使うようにしてください。
なお、市販されているCDに収録されている音源を伴奏として使用したい場合もあるかと思います。
CDの音源を使用する場合は、そのCDの著作者(主にレコード会社)に直談判をしましょう。
主な問い合わせ先は日本レコード協会のこちらにまとまっていますので、どうぞご参考ください。
ちなみに、中には音源を無料で公開している神過ぎるアーティストさんがいます。
本家の音源で演奏できるなんてこれ以上に幸せなことはないので、演奏したい曲の音源が無料公開されていないか一度調べてみる価値はあると思います。
たとえば、最近『うっせぇわ』で人気のAdoさんはこちらでカラオケ音源(inst)を無料公開していますよ。神過ぎるんだよなぁ
アレンジされた他人の楽譜を使用しない
アレンジされた楽譜を演奏する場合、アレンジ部分にも著作権が発生しているため、著作者(主に出版社、もしくは編曲者)に許諾を得る必要があります。
手続きなしに演奏動画を公開したい場合は、原曲をそのまま楽譜に起こしている楽譜を使用するようにしましょう。
アレンジが加わった他人の楽譜を使用する場合
他人の作成した楽譜を使って動画投稿する場合には、楽譜の著作者にも許可をもらうようにしましょう。
吹奏楽で演奏した動画を投稿する際は、出版社の楽譜を使う場合が多いので、このケースが多いと思います。
主な楽譜の出版会社について、動画投稿や編曲の際の手続きをまとめましたのでご参考ください。
会社名 | 動画投稿 | 手続き | 楽譜の改変 | 楽譜改変時の手続き |
---|---|---|---|---|
ウィンズスコア | OK | 不要 | OK | 要 (こちら) |
YAMAHA | OK | 不要 | NG | ― |
ミュージックエイト※1 | OK | 不要 | OK | 不要 |
ロケットミュージック※1 | OK | 不要※2 | OK | 編曲許諾書に記入要 (こちら) |
ブレーン※1 | OK | 不要 | OK | 不要 |
※1:2021年10月に筆者が各社に問い合わせて得た回答を記載。
※2:動画内や概要欄に「編曲者:~~」、「出版:ロケットミュージック」と記載いただくとありがたいとのことでした。
楽譜をそのまま演奏する場合は手続きなしに動画投稿をOKしている出版社が多いです。
奏者の人数が足りないなど、様々な理由でどうしても楽譜を改変する必要があると思います。その際は申請が必要な場合がありますので、注意しましょう。
上記の出版社以外の出版や、個人が作成した楽譜でアレンジが加わっているものを使用する場合は、配信の許可を事前に確認しておきましょう。
まとめ
今回は著作権侵害せずに「演奏してみた」の動画を投稿する方法について詳しく解説しました。
著作権侵害をすると民事訴訟や記事罰を受けるリスクがありますし、新曲が生まれにくくなって音楽業界が衰退してしまう恐れもあります。
軽い気持ちで著作権侵害をするのはやめておきましょう。
著作権を侵害せずに演奏動画をアップロードする場合は以下のフローチャートに従えばおおよそ大丈夫です。
上記のフローチャートでも分かりにくい場合は以下の内容を守れば著作権侵害に当たりません。
有名な曲のほとんどはJASRACかNextoneで管理されているので、投稿先や改変、音源に気を付ければ簡単に動画投稿が可能です。
なお、上記の4つの要件を満たさない場合でも、ちょっとした確認や手続きで許可を受ければ、演奏動画を投稿することが可能ですので諦めることはありません。
それぞれの許可の取り方については、上記で詳しく解説しましたので、それぞれの項目を参照いただければと思います。
音楽は多くの人に聞かれてこそ価値が深まると私は思います。
せっかく演奏活動をしているのならば、多くの人に見てもらいたい、聞いてほしいというのが演奏家の性でしょう。
著作権が分からないから動画投稿を控えるというのは著作権法の意図する姿ではありません。
かと言って著作権侵害が横行すると音楽業界が衰退してしまいます。
著作権を守りながら演奏活動を行う人がどんどん増えて、音楽業界がより一層盛り上がったらうれしいなぁと思っています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご質問や記事の不備、誤りがありましたらお気軽にコメントいただけますと嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
コメント
編曲が不可ということが引っかかっております。
弾いてみた・耳コピ等の動画の場合、
自分なりのアレンジが加わると思うのですが、
それはアウトなのでしょうか?
曲を、自分のアレンジされた楽譜・演奏であげている方々は
許可を得てあげていらっしゃるのでしょうか?
理解力が無くて申し訳ありません。
権利者に許可を得ることなく編曲する行為は著作権の中にある翻案権侵害になります。
Youtubeなどの包括契約してくれいるサービスでは、弾いてみたや耳コピの動画を申請なしにで投稿できますが、
その内容はあくまで原曲をそのまま再現する場合に限られています。
なお、耳コピをする際に自信の採譜能力が足りなくて再現できない点や、演奏能力が低くて再現できない点などは原曲と異なっていても問題ありません。
これは原曲の思想感情や主張を変えるものではないためです。
上記を踏まえて自分なりのアレンジがどこまで許されるかについてですが、これはその曲の著作者次第です。
どんなアレンジであっても著作者の意に反して編成を変更したり、歌詞を変えたりなどすると著作権侵害となります。
実際問題として編曲された動画を見る機会は多くありますが、その投稿主が著作者に許諾を得ていないというケースはあると思います。
これが成り立っているのは著作者がその編曲を黙認してくれているからです。
実際のケースとしてアマチュアの編曲内容にアーティストが著作権侵害を訴えてきて訴訟になるリスクはかなり低いと思いますが、
著作権法を順守したい、著作者の権利を尊重したいという方が編曲する場合は、一度著作者に確認を取ることをお勧めします。
こちらのブログを読ませていただき、大変参考になりました。ありがとうございました。YouTubeでの動画の配信を考えているのですが、二人で音楽を使って脳トレをする内容です。その際、アカウントは、私個人のブランドアカウントでチャンネルを作る予定なのですが、団体アカウントとは、どこで判断すればよろしいのでしょうか。二人でやっていく予定なのですが、それは団体となるのでしょうか。
あくまでも、ボランティアで活動しているため、○○教室とかではないのですが、それを個人と言えるのかがわからなくて、困っています。
団体アカウントについて、教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。